医療に携わる人たちの働き方改革の一環として、2020年度に診療報酬が改訂されました。
「診療報酬」とは健康保険事業を行っている運営元から支払われるもので、患者と保険者が3対7の割合で負担しています。この保険制度によって、国民は費用の一部を払うことで治療を受けられるのです。
診療報酬は、基本診療料(初診料や入院料など)と、特掲診察料(検査料や手術料など)の2つで構成されており、それぞれの診療行為に決められた点数から算出します。
診療報酬は、そのまま医師や看護師など医療者の収入になるわけではありません。何故なら、病院の維持費や管理費、薬品代などにもあてられるためです。
つまり、診療報酬の改定によって診療行為に決められた点数が代わることは、収入だけではなく病院そのものの経営にも影響を与えるのです。
2020年度の診療報酬の改定では、医師や薬剤師などの収入に関する部分の割合が大きくなりました。看護師についても例外ではなく、看護師を多く配置する病院への加算(急性期看護補助体制加算など)点数が30点高くなったり、夜勤看護師の労働環境改善のための「夜間看護体制加算」に、丸一日休むことで加算される条件が追加されました。
他にも、「地域医療体制確保加算」が新たに定められたことで、多く救急搬送を受け入れると加算がとれるようになるため、救急部門の看護師の需要が高まる可能性があります。
また、特定行為研修と呼ばれる研修を修了した看護師の評価も上がったため、この研修の受講を勧める病院は増えていくでしょう。